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ペットを飼っていた物件で、遺品整理やごみ屋敷の片付けを行う場合に注意していただきたいこと

2022/05/29

犬や猫などの動物を飼っていた方が亡くなったときに、その遺品整理を行う時にまるでごみ屋敷のようになった物件の片付けを行うことがあります。
そのような片付け作業の中には当社でも様々なケースがありました。
犬や猫が大量のごみの中でなんとか生きてのびていたケース、飼い主が動物をそのまま置いて家を出ていったせいで、残された動物が糞尿まみれで生きていたケース、もっとひどいときには餓死したペットの死骸が複数放置されている現場もありました。

ご依頼があれば、私達片付け業者は動物の死骸を始末したり、その糞尿を取り除く作業もしますが、このように悲惨な状態の物件を片付けると、ご依頼者は料金も含めて、大変な問題に直面する可能性があります。

ここではペットを飼育している様々な物件で発生する恐れのあるトラブルやリスクなどこれからこのようなペットを飼われていた現場で片付けを行う際に是非注意してほしい点をいくつかご紹介したいと思います。

①賃貸物件でのペット飼育は契約内容によっては多額の賠償金を支払わなければならない場合がある

まず、ペットを飼っていた現場の片付けで一番多くトラブルになりやすいのは、賃貸物件で断りもなしにペットを飼ってしまったケースです。
賃貸契約を結ぶときには、契約書の中にペットが飼えるか飼えないか、明確に記載してあるはずです。
また、ペットが飼える場合でも、許可される動物の種類や大きさ(猫、子犬に限るなど)が記載されているはずですし、一般的には不動産屋さんと大家さんが取り決めを行い、貸出条件を提示の上で、賃貸契約を結ぶという流れだと思います。
ただ、最近のトラブルで増えているのが、飼育禁止の物件なのに、居住者の方が勝手に動物を飼ってしまうケースです。
飼う理由の多くは、ペットショップで見つけて、かわいいのでついつい買い求めてしまった場合や一人暮らしで寂しかったから、癒しが欲しかったからなど、それぞれの方によって様々な事情があるようですが、たいていは契約者が許可なく勝手にした行動と判断されてしまうので、最悪の場合には大家さんや不動産屋さんに建物損傷の賠償や特殊な清掃費用として高額請求される可能性があります。
日本では消費者を保護するという観点から、賃貸住居を退去する時の敷金返却問題などに関して様々な問題があり、当事者同士での裁判が行われますがほとんどが消費者にとって有利になる判例が多くあります。

ただ、今回のように契約書に載っていないペット飼育についての裁判の場合は、賃貸契約を結んだ時点での契約違反となってしまうので、大家側に有利になる判決が多いようです。

判例としてあったものとしてここでは1件紹介いたしますがこれは、居住者側が原状復帰の費用全てを求められた判例です。
まず、退去者Aさんがごく普通の状態で暮らしていたと思われていた物件を、退去後に清掃して、次の居住者であるBさんと賃貸契約を結びました。
Bさんはこの部屋に住み始めたのですが、今まではなかったじんましんの症状が出たり、体の不調を感じるようになったので、変だと思って不動産会社に相談したそうです。
不動産屋さんと調べた結果、Bさんは猫アレルギーを持っていたので、その影響で体調不良を起こしたという診断でした。
ところが、この建物はペットが飼えない賃貸契約物件だったのです。
それなのに猫アレルギーとはおかしいと思って、前に住んでいたAさんに確認してみたら、放し飼いにしてはいなかったものの、部屋の中で猫をケージ飼いしていたことが分かりました。
Aさんが退去する際には、ぱっと見には部屋の中に傷などなく、ペットの存在はわからなかったようですが、Aさんが飼っていた猫の毛などがBさんのアレルギー発症の原因だったと判明しました。
言うまでもなく、これはAさんの契約違反だったので、部屋の原状復帰に伴う清掃費用、新居住者Bさんの体調不良による精神的苦痛などの慰謝料も含めてAさんを相手取り、裁判を起こしました。
裁判の結果は、不動産会社とBさんのほぼ満額回答となったので、退去者Aさんはそれらの費用を支払うことになってしまいました。

市町村に関係なくどこでもありえる判決の一部ですがこの裁判結果が退去者に必ず不利な結果になるとは限らないのですが、たいていの場合は契約違反と判断され、物件の原状復帰を求められることになると思います。

ペットを飼っても、そんなに大きな請求はされないだろうと軽い気持ちやノリで飼う方もいると思いますが、退去時に高額請求をされることがよくあります。

仮にそうなったら、結果によってはごみ屋敷や遺品整理作業の代金などと同じように、それなりの対価を支払うことになってしまう場合もあるのです。

その為、賃貸契約物件では契約書の内容に従って生活することを強くお勧めし、万が一契約と違う使われ方をしてしまった場合はそのようなリスクが発生することもある程度覚悟しておく必要があります。

②ペット飼育による室内の破損は契約によっては全額負担になる。

次はペットを飼育した結果、室内を傷つけてしまったケースです。

ごみ屋敷の片付けや、遺品整理を行うときにはよくある話ですが、ペットが家の柱や壁紙、床などを傷つけてしまったので、修復するために費用を請求されるケースがあります。

この場合は、上記の例と同じように、この物件では賃貸契約を結んだ時に、どのようなペットなら飼育が可能なのか、または飼育方法が許可されていたのかが問題になる場合がございます。

ペットにはケージ飼いをお願いしている物件などもあり、賃貸物件の場合はこのような契約をお願いしている場合も多いのですが、こういった室内でのペット飼育による破損などでトラブルがおきないようにするためと言われています。

特に飼う動物の種類によって契約書では許可されていても、部屋の中で放し飼い状態だったのでは、結果的に契約違反になって、ペットによる破損状態によっては床や壁などを全て交換しなければならないこともあるようです。

また、ごみ屋敷化したあげく、ペットの糞尿まみれになった物件などは、糞尿の撤去や清掃、修復には1部屋だけで100万円~300万円もかかってしまう場合があり、状況によっては多額の請求を受けてしまうことがあるので契約内容については注意が必要です。

 

以上の2点は一例ではありますが普通に退去できると思っていても賃貸契約書を見ず、ペットの事を優先にしたり、自分の思い込みや勝手な理由でペットを飼い始めたことで多額の請求を受けないように、たとえペット飼育OKの物件であっても、契約内容を確認しておく必要があります。

また、大家側も物件の経年劣化による修復にかかる敷金の取り扱いについては昔よりずっと厳しくなった結果、賃貸物件契約はかなり読み込まないと賃貸側の不利益にもなりえる場合もあり、居住者の契約内容順守についても、以前より厳格化している傾向があります。
万が一、裁判になったとしても結果は様々なので簡単には言えませんが、賃貸物件でペットを飼う場合は、詳しくしっかりと契約書の内容を読みこんで、それを守って生活することが大切だと思いますので細心の注意をはらって飼うようにした方が余計なトラブルに巻き込まれずに済むものと思われます。

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